食品工場の作業着クリーニング|ISO22000・HACCPで求められる衛生管理とは

作業着クリーニングにも要求されるISO22000とHACCPの違いを解説

食品工場などで衛生管理に取り組んでいると、「HACCP」だけでなく「ISO 22000」という言葉を耳にすることがあります。

また、食品工場が作業着のクリーニングなどを外部へ委託する場合、委託先についても、自社の食品安全・衛生管理方針に沿った管理や対応を求められることがあります。

これは、必ずしもクリーニング会社自身がISO 22000の認証を取得しなければならない、という意味ではありません。

大切なのは、食品工場側がどのような衛生管理を必要としているのかを明確にし、作業着の回収・洗浄・保管・納品など、外部委託する業務についても適切に管理できる体制を整えることです。

「HACCPとISO 22000は何が違うの?」
「ISO 22000では何が求められるの?」
「認証を取得するには何をすればいい?」
「作業着のクリーニングを外部委託するときは、何を確認すればいい?」

この記事では、HACCPとの違いからISO 22000の要求事項、認証取得までの流れ、そして食品工場が作業着クリーニングを外部委託する際に考えておきたい衛生管理について、わかりやすく解説します。

ISO 22000とは?

ISO 22000は、「食品安全マネジメントシステム(FSMS)」についての要求事項を定めた国際規格です。

食品を製造する工場だけを対象にしたものではなく、一次生産、食品製造、輸送・保管、ケータリング、小売、食品に関連するサービスなど、フードチェーンに関係するさまざまな組織で活用できます。

ISO 22000では、HACCPの考え方を取り入れながら、

  • 食品安全に関するコミュニケーション

  • 組織としての管理体制

  • 前提条件プログラム(PRP)

  • ハザード分析

  • 継続的な評価・改善

などを組み合わせ、食品安全を組織全体で管理する仕組みを構築します。

単に「食品を衛生的に取り扱う」というだけでなく、「誰が、何を、どのようなルールで管理し、それが適切に機能していることをどのように確認し、改善していくのか」という仕組みまで含めて考えるのが特徴です。

HACCPとISO 22000は何が違う?

HACCPとISO 22000は別々のものですが、まったく無関係なものではありません。

HACCPは、原材料の受け入れから製造・出荷までの工程において、食中毒菌、異物、化学物質などの危害要因(ハザード)を分析し、重要な工程を継続的に管理することで食品事故を防止する衛生管理の手法です。

日本では2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が求められています。

一方、ISO 22000はHACCPの原則を取り込みながら、それを食品安全マネジメントシステムの一部として位置づけています。

簡単に整理すると、

HACCPは「食品の危害要因をどのように管理するか」

という考え方が中心であるのに対し、

ISO 22000は「食品安全を会社・組織としてどのように管理し、維持し、改善していくか」

まで範囲を広げたものと考えると分かりやすいでしょう。

そのため、「HACCPを実施している=ISO 22000の要求事項をすべて満たしている」ということではありません。

ISO 22000では何が求められる?

ISO 22000では、食品安全を一部の担当者だけの仕事にするのではなく、組織として管理する仕組みを構築することが求められます。

主な考え方を見てみましょう。

1.食品安全に関する方針と責任を明確にする

食品安全に対する組織の方針を明確にし、責任や権限、役割を定めます。

経営者から現場の従業員まで、「誰が何をするのか」を明確にすることが重要です。

2.食品安全上のリスクを把握・管理する

原材料、製造工程、設備、人、作業環境などから発生する可能性のある食品安全上の危害要因を分析し、必要な管理方法を決めます。

ここにはHACCPの考え方が組み込まれています。

3.前提条件プログラム(PRP)を整備する

食品を安全に製造するためには、HACCPによる重要管理点だけを管理すればよいわけではありません。

施設・設備の衛生管理、清掃・洗浄、害虫対策、従業員の衛生管理、交差汚染防止など、食品を安全に製造できる環境そのものを整える必要があります。

こうした食品安全の土台となる基本的な衛生管理を「前提条件プログラム(PRP)」と呼びます。

4.記録を残し、確認できるようにする

「きちんとやっています」というだけでは、管理されていることを客観的に確認できません。

決められたルールが実施されていることを記録し、必要なときに確認できる仕組みを整えることが重要になります。

5.問題があれば改善する

食品安全管理は、一度ルールを作って終わりではありません。

運用状況を確認し、問題や変化があれば原因を調べ、必要に応じて仕組みを改善していきます。

この「継続的に改善していく」という考え方も、ISO 22000の大きな特徴です。

ISO 22000の認証を取得するには?

ISO 22000は、規格の考え方を自社の食品安全管理に取り入れるだけでも活用できます。

一方、取引先から認証を求められる場合や、自社の食品安全管理体制を第三者に示したい場合には、第三者認証を取得するという選択肢があります。

なお、ISOそのものが企業を審査して認証するわけではありません。認証取得を希望する場合は、第三者の認証機関による審査を受けます。

一般的には、次のような流れで準備を進めます。

1.現在の衛生管理状況を把握する

まず、現在行っている衛生管理とISO 22000で求められる仕組みとの違いを確認します。

2.食品安全管理の仕組みを整える

方針、責任者、衛生管理方法、HACCP、PRP、緊急時対応、記録方法など、自社に必要な仕組みを整えていきます。

3.実際に運用して記録を残す

作成したルールを現場で運用します。

大切なのは、立派なマニュアルを作ることではなく、決めたルールが現場で実際に守られ、その結果を確認できることです。

4.内部監査やマネジメントレビューを行う

自社の仕組みが適切に機能しているかを確認し、問題があれば改善します。

5.認証機関の審査を受ける

認証取得を目指す場合には、認証機関による審査を受けます。審査で規格要求事項への適合が確認されれば、ISO 22000の認証につながります。

ISO 22000の認証を取得しなくてもできること

ここでぜひ知っていただきたいのが、

「ISO 22000に取り組む=必ず認証を取得しなければならない」わけではない

ということです。

ISOも、ISO 22000の利用に第三者認証は必須ではないとしています。

たとえば、

「将来的にはISO 22000を取得したい」

という食品工場であれば、現在の衛生管理を少しずつ見直していくことが認証取得に向けた準備になります。

また、

「認証取得までは考えていない」

という事業者様でも、ISO 22000やHACCPの考え方を参考にすることで、自社の食品安全管理を見直すきっかけになります。

特に次のような項目は、比較的取り組みやすいところです。

  • 工場内の清掃・洗浄方法を明確にする

  • 作業区域ごとの衛生ルールを決める

  • 従業員への衛生教育を行う

  • 異物混入対策を見直す

  • 手洗いや入室時のルールを決める

  • 作業着の交換基準を決める

  • 使用済み作業着と清潔な作業着を区分する

  • 作業着の洗濯・回収・保管方法を決める

  • 実施したことを記録する

こうした日常的な衛生管理を「決める・実行する・記録する・見直す」という形にしていくことが、食品安全管理の第一歩になります。

食品工場では「作業着の管理」も衛生管理の一部です

食品工場では、設備や製造ラインだけでなく、そこで働く「人」も衛生管理を考えるうえで重要な要素です。

そして、人が製造区域へ持ち込むものの一つが作業着です。

食品を扱う環境では、作業着に食品残渣、油、汗、ほこり、毛髪などが付着する可能性があります。

そのため、

「いつ交換するのか」
「使用後の作業着をどこに置くのか」
「誰がどのように洗濯するのか」
「洗濯後の作業着をどのように保管するのか」
「清潔なものと使用済みのものをどのように区別するのか」

といった運用も重要になります。

従業員それぞれが家庭に持ち帰って洗濯する方法では、洗濯方法や洗剤、温度、乾燥方法などを会社側で統一して管理することが難しい場合もあります。

そこで、作業着の回収から洗浄、納品までを専門業者へ委託し、一定のルールで運用することも選択肢の一つです。

ISO 22000・HACCPを意識した作業着管理についてもご相談ください

有限会社トックでは、静岡県富士市を中心に、食品工場をはじめとした法人のお客様の作業着・白衣・ユニフォームなどのクリーニングを承っています。

ISO 22000の認証取得そのものを行うサービスではありませんが、食品安全や衛生管理に取り組む企業様から求められる作業着の衛生管理について、クリーニング事業者としてお手伝いできることがあります。

たとえば、

  • 作業着を定期的に回収・クリーニングしたい

  • 従業員による家庭洗濯から外部委託へ切り替えたい

  • 作業着の交換・回収方法を見直したい

  • 使用済み作業着とクリーニング済み作業着を分けて管理したい

  • 食品工場の衛生管理方針に合わせてクリーニング方法を相談したい

など、お客様の運用状況や要求事項を確認しながらご相談を承ります。

ISO 22000の認証取得を目指している企業様はもちろん、「まずは現在の作業着管理を見直したい」という企業様も、お気軽にご相談ください。

食品を扱う現場だからこそ、毎日着用する作業着の衛生管理から見直してみませんか。


参考情報

・厚生労働省「HACCP(ハサップ)」
・厚生労働省「HACCPに基づく衛生管理」
・ISO「ISO 22000:2018 Food safety management systems — Requirements for any organization in the food chain」

※本記事はISO 22000およびHACCPに関する一般的な情報を提供するものです。実際の認証取得や個別の要求事項への適合については、認証機関や専門家等へご確認ください。

上部へスクロール